面接の作法

就職するにあたって、避けて通れないのが面接です。あなたが希望する会社に応募してみると、面接担当の方に「では三日後に面接に来てください」なんて突然言われてしまうかもしれません。面接なんて適当に済ませればいいと考え、応募してからの数日を適当に過ごしてしまうと、いざ面接に行くとどう行動するかわからず焦ってしまうでしょう。また、自分がこれで正しいと思っている面接の作法が、実は間違っているなんてこともあるかもしれません。

面接官はこういったところを見逃しません。焦っている様や間違いを堂々と犯している様を見た面接官は、あなたに疑問を抱き、あなたの採用を見送ってしまうかもしれません。いわば面接の作法は『できて当たり前』なのです。面接の作法は、一日あれば覚えることができます。しっかりとマナーと作法を身につけ、面接に挑みましょう。

面接開始前の心得

  1. 遅刻は厳禁です。面接の時間よりも30分前には面接場所に到着しておきましょう。そうしないと面接場所についたのに会社の入口がわからず面接時間に遅れてしまうことがあるからです。また、早く到着することで、身だしなみを直す時間を確保できたり、心を落ち着かせることもできます。
  2. 面接会場についてから面接開始までは、用意された控室で待つことになります。この時、たとえ友人と同席していても、私語は慎むようにしましょう。あなたの態度は、この時点で既にチェックされています。面接場所についてからが面接なのです。
  3. 第一印象が決まるのは、ドアを開けてから名前を名乗り、席につくまでの30秒間だといわれています。ベテランの面接官は、第一印象で相手を判断できると言います。それほど第一印象は重要です。面接までは第一印象をよくするために、お手洗いなどで、頭髪及び服装が乱れていないかどうか、しっかりと確かめておきましょう。

面接の流れ

入室の仕方

面接の時間になり自分の面接の順番が回ってくると、名前や自分に割り振られた番号が呼ばれます。自分の名前や番号が呼ばれたら、「はい」と元気よく返事をし、すぐに席を立って面接の部屋に向かいます。

面接の部屋の前まで来たら、まず面接の部屋のドアでノックしましょう。手でこぶしをつくり、中指の関節でゆっくりと4回ノックします(3回でもかまわないのですが、これは親しい間柄など、関係性が近い場合になるのでお勧めできません。)。ノックの音があまり小さいと、先方に聞こえないかもしれませんので、適度な音を出せるよう力加減してノックしてください。そして、必ず部屋の中からの返事を確認しましょう。

部屋の中からの返事を確認したら、ドアノブを握ったまま開け、ドアを閉めます。(ドアノブが右側なら左手で、左側なら右手で開け、入室してから内側のノブを逆の手に持ち替えたほうが、動作がスムーズにできます。)この時、自分の背中側を面接官の方に向けではいけません。
ドアを閉め終わったら、面接官に向って直立して、最初の言葉「失礼いたします」と言ってから、30度の角度でおじぎをします。

着席まで

入室が問題なくできたら、イスの横まで歩きます。そして姿勢を正し、面接官に「自己紹介をどうぞ」と言われるのを待ちましょう。自己紹介を促されてから「○山○○子と申します。よろしくお願いいたします。」と言い、45度の角度でおじぎをします。面接官に「どうぞおかけください」と言われたら、「失礼いたします」と言い静かに着席します。

面接の間は、あごを引き背筋を伸ばしてイスに腰掛けることを意識してください。男性は両足の膝頭を握りこぶし一つ分開け、膝は90度に曲げます。(女性は直角より10度ほど足を前に出す)手は膝の上に重ねて置くよう心がけましょう。

質疑応答中の様子

面接中は、出来るだけ明るい表情を心がけ、笑顔を絶やさず、面接官の目を見て話しましょう。面接官の目を見て話さないと自分の話している内容が伝わりません。

また、最近の面接官は、入社志望者のコミュニケーション能力を求めている傾向が強いです。ここで言うコミュニケーション能力とは、人の話を理解して聞き、協調性をもって他の社員と行動できることです。面接中ははきはきとした声で面接官の訪ねていることの回答を正確に伝え、固くなりすぎずフランクすぎない程度の口調で話すようにしましょう。そうすることで面接官から好印象を得ることができます。

面接中に面接官から名刺を渡される事があります。そんな時は両手で受け取りながら「頂戴いたします」と、挨拶をしましょう。渡された名刺は面接中、テーブルの右前に置き、自分に見えやすいようにしておきましょう。そうすることで面接官の名前をすぐに確認することができます。テーブルがなければすぐにしまって問題ありません。面接が終了したら名刺入れなどにしまい、なくさないように大事に取り扱いましょう。

退出の仕方

面接が終わったときに、「以上で終わります」と言われたら、座ったまま「本日は、ありがとうございました」と言ってから立ち上がってイスの横に出て、「失礼いたします」と言ってから45度の角度でおじぎをします。おじぎをし終えたらドアの前まで歩き、面接官の方に向き直って、会釈(15度のお辞儀)をして退室します。

会場を出たら、あまり寄り道せず真っ直ぐ家に帰りましょう。ましてや帰り道で面接中の話をするなんて、もっての外です。家に帰るまでは面接のときと同じような緊張感をもつことを心がけてください。

最後に

以上が基本的な面接の流れです。いかがだったでしょうか?今までアルバイトの面接を受けたことがある方にとっては、かなり堅苦しいものと感じるかもしれません。しかし、ここで書かれている入室前から退出までの面接の流れは、社会人なら誰しも『できて当たり前』と思われていることです。しっかりと練習してから面接に臨みましょう。他の人に見てもらい、おかしなところがないかチェックしてもらうのも良いです。

ここで紹介した流れは、あくまで基本的な流れでしかありません。会社によれば控室がなく、到着早々いきなり面接場所に案内されることもあります。また、面接室に案内されても面接官がいない状態で少し待たされて、後から面接官が入ってくることもあります。(そういった場合、ほとんどの人は座ったまま面接官に挨拶をしてしまいますが、これはいけません。こういったときは面接官が入ってくると同時に、自分も立ち上がり、面接官に向かって挨拶を元気よくしましょう。)

この他にも、ここで紹介したものとは異なる面接を行っている会社はたくさんあります。しかし、基本的な面接の流れを完全に覚えていれば、例外的な場合でも十分に対応できるでしょう。正しい面接の作法を身に着け、間違えても落ち着いて面接に挑み、自分の魅力を面接官に伝えてください。